当ブログで考察し続けた感覚の理論化であるが、何度も述べてきた通り感覚の最小単位とは最小単位の運動のことをいい、最小単位の運動は3Hit theoryで一般化できることもまた示唆してきた。

最小単位の運動を感じ、再現性を持たせることが出来るということはそれこそが最小単位の感覚であり、自らでそれぞれの最小単位として定義さえできれば核としたものと理解してよいだろう。

よりその先、如何にして力を入れていくかを議論する為に、最小単位の運動(=感覚)を容易く操作できるように解剖学的に考察をしてきた。

自身もこの着眼点で練習を行っていくうちに基礎打ちさえできれば大概の技術は月1の練習頻度であってもできるレベルで維持可能となったが、やはり体力的な側面は解決不可能であるのはたびたび漏らしてきた愚痴の一つではある。

昨今最も練習に時間を割いているのは流行りの前陣カウンター卓球であり、前陣対中陣でのドライブ対ドライブをしているのだが、そこで一つ疑問が生じた。

台にへばりつかない限りは、少し離れてしまったが最後どうやっても前に振らなければ前陣では打てない

前に振らない方がミスをせず理想的にも関わらず、どうしても前に振らなければいけない

多くの指導者は前に振るものだというし、ラケットをかぶせるようにだの、ラバーのスペックだのとそれらしき理由を述べる

しかし、どれもプロ選手であればその通りにできるが、一般レベルでそれをすればミスを連発する

実際私自身も前にへばりついて前に振らないように意識をすれば安定してはいるが、少し下がった場合は前に振れば入るし、前に振らないとボールが低くて打ちづらい

前に振って入るときと、前に振って入らない時はどういうときかに着目して検証をしてみると、前に振って入るときは前にふらずに入る時のイメージで、前に振って入らない時は前に振って入らない時のイメージであることが多かった

言い換えれば、前に振って入る時というのは前に振らず入る時と似た感覚があるということだ

この意味を議論するにあたり、まずは前陣と中陣での違いを述べる必要がある。


前陣と中陣で基礎打ちをしたとしよう。
難しいのは言わずもがな前陣だ。
テイクバックを大きく取れず、小さいテイクバックで十分に引き付けながら、時間的にも空間的にも束縛された条件でインパクトを作らなければならない。
一方で中陣の場合時間的かつ空間的余裕もあり、打球できるスペースは体の半身以遠のほぼ全てをつかえるといっていいほどだ。
テイクバックをある程度とったとしてもゆっくり待ってから弱く打つなりどうとでもできる。

対ドライブで前中陣でのカウンターに話を戻せば、沈んでいくボールに対し前陣では少ないテイクバックで球筋もよく見えない中でインパクトをしなければならず、勢いで強く打ってしまえば飛んでしまう。中陣は前述のとおりだ。

それ故に前陣でカウンターをするとなれば、ボールがしっかり見えており、打球点も狭いながらもテイクバックをあまりとらない状態でボールを待ち、コンパクトに収まるように打たねばならない。

インパクトをある程度事前に持っていなければならない、という表現が正しいだろうか。
このスピードでこの回転量だから、これぐらいのインパクトを作る。
それも3Hit条件をあまり満たせない中でだ。

そもそも3Hitは自分から見た時の条件であり、ボールから見た条件で言えば「これぐらいの力で殴られた」とも解釈できる

ボール目線で物理的に言えばただ力を、ベクトルを入れられただけなのだ。

故に安定して入る3Hit条件でのインパクトを感覚的に理解し、例えるなら自分の中でABCDEFGの7段階の力の入れ具合のインパクトを持っておき、前陣のカウンターだからCDぐらいで、と決め打ちしてしまえば感覚的に3Hit条件を満たしているともいえる。

元々のインパクトで最小単位を理解し、自らの中で十分にランク付けされたインパクトをもっていればたとえ前陣で前で振っていても、感覚的に3Hit条件を満たしていることになる。

こう書くとただの感覚の話ではないか?とも思われるが、単なる感覚ではなく、最小単位から数えた定義づけされた感覚であるならばそれは再現性があり検証も可能ゆえに理詰めで表現できるものになる。

このためにはやはり基礎打ちでの最小単位の感覚=運動の理解が必要不可欠であり、そこから最大の感覚=運動までを体系的に習得しておかねばならない。

その先に前に振っても安定する、超感覚の世界が待っているのだろう。