久方ぶりに部活に顔を出し、私が六年生のとき一年生だった子に教えてみたときの話


当時は全くの初心者で、ボールに当てることさえしんどかった
3hitをベースにワンコースでチャンスボールなら一発が入る、対下でループができる、バックでプッシュが出来るぐらいまでは教えて、それからは国家試験でログアウト

それから彼はずいぶん伸びていた
ラリーは平気で続くし

少し感慨深く思ってみていたのだが、彼は彼なりに課題に直面していた

「回り込みの三球目が安定してはいらない」
「回り込みでの連打が続かない。2球も続かない」

これに対し、私の後輩、バルサミコキッズは3hitのみならず、いろいろな動画を食い漁り試行錯誤して指導していた

フォーム、待ち方、姿勢・・・

どれもその通りの指導法

だがどれもあっているけれど、入らない理由の根幹の部分は抜け落ちていた

というのも、完ぺきではないにしろフォームを持っていて、来る場所に立てている

ここで修正するべきは何か、と言われれば、ボールに対しての感性や感覚の部分

何も考えていない中学生であれば、やれイップスだの、センスがないだの言い始めそうな部分だが…

これに対し皆さんはどう指導・どう対処するだろうか?
少し間を開けよう








私が、その学生に対し指導した内容は、




動いて打てないなら、動かないで打つ練習をしたほうが良い





これを言われてハッとしない方は教えなれている方か、卓球に対し困った固定概念を持っている人だろう

というのも、卓球は、ワンコースでの運動に関して細かく動くことはあれど大きく動くことは本当に少ない
極端な話を言うならワンコースなら全く動かなくても返球は可能だということだ

下手に動こうとするから、入らない理由をフォームに固着するから、余計に入らなくなる

まずワンコースで入れることに集中できるような方法を教えた方が安定して入れることは簡単になる

人は打球する際に、
①ボールを見て
②ボールの情報を理解して
③それに見合った体の運動をしてから
④打球の運動に入る

この時、相手ボールが安定していて動かなくていい場合に、行わなければいけないことは①と理解すべき内容が少なくなった②と④となる

一方でボールが動く際重要となるのは②と③、無論情報量は多くなるし、運動量も難しくなる
全く動かない条件を加えることで②と③をある程度省略でき、初学者にちょうどいいレベルにまで練習内容を落とすことが出来る。

そこまで落とすことで実際に必要な待ちや運動量を再認識することができるため、これまでの誤った認識を改めることにもつながる。

そうして自分の「動かなくても打てる範囲」を理解することが出来るようになるのだ。

ここまで書けば動いて打てない人は、正しくは「どれだけ動けばいいかわからないので打てない人」であることが(私の経験上)多いということがわかるだろう。

さてこれに対し反例を挙げるとすれば、「大きく動いて打てない人」はどうなるのかということだ。

これに関しては単純に難しいので距離感とか、コース読みとか、そういった情報量をさらに絞ったり・距離感を詰める方法であったり、それに適した打法だったりを習得しなければならず、個別対応となるため考えて練習するしかないと言わざるを得ない。

ただこれに関しても「大きく動かなきゃいけない」と認識しているボールは、実際はプロはもっと飄々と少し動いて返球していたりするわけで、「大きく動く必要がある」という認識そのものが間違っているのかもしれない。ただここも細かな場合分けをした上での指摘は生で見てみないと断言しきれない。

また、大きく動かなきゃ返せないボールを返された時点でそれまでの展開で誤りがある可能性が高いため、ラリー展開を考える必要もあるだろう。そもそも取れないボールは取れないのだから。



上記を説明してみた学生はその後どうなったのか。

バック側に回り込みでのワンコースの練習を行った。
カバーできる範囲はバックコーナー~ミドルまで。

なるたけ右足つま先前のちょい横で、と3Hitに基づく打球点設定をし、そこに呼び込んでから動かずに打つ。
ミドルにきた場合は股関節屈曲を入れてラケットと上半身を近づけるように。
(無論股関節の使い方に関しては平岡流の足寄せ両方で指導したのちに)

多球で繰り返していくうちに、足を一歩も動かさずに、コーナーからミドルまでの処理は可能となった。

そのまま一球練習に移ってみても、当初は2球もつながらなかったのが5球以上繋がるようになった。

あまりにも綺麗に指導が決まったものだから動画に残しておきたかったが…

コロナ自粛開けすぐの時期で、いろいろNGかもというのと動画に残す発想が無かったので泡に


しかして誰にでも考え方として、動いて打てないなら動かないで打ってみるというのは無いだろうから


ぜひとも皆さん試してみてほしい

意外と誰にでもハマることかと思われる。