前回記事に以下のコメントをいただきましたので、ネタにして考察してみようと思います。



コメントを読んでから動画を見たところ、私の印象としては全く違う動作をしているのだから手首を使っている使っていないに関して比較すること自体間違っているのでは…というのが率直なところです。
おおむね頂いたコメントと同様な感想、すなはち①肩関節の内旋運動主体(手首を使う)と②肩関節の水平屈曲主体(手首を使わない)運動を比較している。

本来「手首を使う、使わない」を比較するならば手関節の運動の有無で比較しなければいけないのではないか。すなはち尺屈→橈屈(ばいばいの運動)、掌屈・背屈(ぱたぱたの運動)である。

同一の動作において、それらが入っているか否かを議論しなければ、ただ単純に「あなたが普段使っているフォームは①と②のどちらですか?」という問いになってしまう。

加えて尺屈固定条件の有無で②の運動で強いボールが打てるかどうか決まってくるし、体の使い方にもよるからどちらがいいとかは一概には言えない。

故に使う使わない以前の話では…とは思うが、本動画の正しい見方をあえて提示してみよう。


それは、フォームは何から作られるのか、ということだ

この観点で見ると菴木伸吾氏は非常に面白いことを言っているしやっている

①は不安定だがいいボールが入る、②は安定だし手首を使うと入らない、と



フォームを分類する際に安定しているかどうかと、手首を使っているかどうかの二点から考察しているのだ。加えて手首を使っている=不安定、という解釈をしている。

多関節運動をするということは自在性が大きい反面確かに不安定になる可能性が高い。
逆を言えば不安定であるということは多関節運動である、それは手首を使うことでもあるという感覚でいるということだ。
厳密言えばそう断言してはならないが、感覚的には正しいことを言っている。

初心者はまずは安定し、使える関節が少ない方を選ぶべきともとれるし、この方が最初に教えるフォームは②で、徐々に使える関節を使えるようにフォームを矯正していくというのならとても優秀な方なのだと思う。


①と②を比較して①の方が不安定な理由としては打点がより体の前でボールの全体像を見ていられる時間が短く、ライジングが強要される点も挙げられる。
引き付けて3Hitを狙い続けない限りはいいボールは打てないし、あんまり力が要らないために感覚的なところが多分に占める。

一方②の方が引き付けられるからフォームさえしっかりしていてインパクトが出せれば
安定して強いボールが出せる。

あえて言い方を変えれば①は前に振る、②は横に振る


ここで手首を使うこととは何かを再考してみると、動画内を見ていれば「手首を使うことで自然と前腕を動かす」という意味なのだろう。

言い換えれば前腕の使い方だ。私がこれまで見てきたフォア表で手首の使い方を議論するよりも前腕の使い方を議論していることしかない。というかフランがそうだったし、知り合いの粒高とかペン表やらペン裏とかでもみんなそうだった。

人によって「手首を使う感覚」が「前腕を使うこと」であったりするという一例なのだろう。


最後に一点この動画でミスリードがされているように思えるのは、①と②は共存することを可能性から外してしまっているということだ。

つまりは手首を使わない、使うで議論してしまっているが為に、水平屈曲と内旋が同時に行われることを無視してしまっている。

実際は動画で示されるような極端なフォームの人はそうはいない。
ラケットをある程度上げた状態で内旋と水平屈曲をある程度同時に行いながらフォロースルーを作るはずだ。


以上、回答としては

厳密には手首を使ってはいないが、深く読めば筋道は理解できる。
しかし、私は動画のように習っていないので共感はできなかった。
この指導者に指導をされている生徒はきっと上手になる



考察依頼あればまたコメントいただければ幸いです。