1試合目 「伊藤圧勝に見えるが、団体戦的には接戦」
相性的にも試合内容的にも伊藤有利の試合。
フォアストレート、サイドを割るバックのカット性ブロック共に非常に有効。
しかし、左のバックストレートが思った以上に強烈。
卓球の技術の面ではここらが論点になるが、実際試合全体を通して見ると
「新生コリアチームを占う重要な1戦」
であり、この試合の雰囲気が結果全てを司るといっていいほど重要な試合だった。
コリアチーム結成に伴い、ベンチ人数の拡充が認められたようで、コリア側は北朝鮮、韓国の選手全てとその監督、日本側も後ろ側に早田のコーチなど3人程度が増えていた。
だが、コリア側の雰囲気はどうもよくはなさそう。
応援をするといっても普段のような鬼気迫るものは無い。表情がどこか上の空の選手がベンチに座っていたりも。
また、どこか緊張した雰囲気も垣間見え、普段の「日本絶対許さない」とした鬼気迫る闘志むき出しの卓球というよりどこか見えないものと戦っているような感じ。
中国帰化選手というのもあってかやり辛そう。
世界ランク的にも実力的にも選ぶのが適当であったのだろうが、本試合の持つ意義には適当ではなかったのかもしれない。

ベンチの応援も確かに一貫性はある。
だが敵として見ていた選手や監督がベンチにいる状態で、果たしてそれに励まされるだろうか。
一方、日本ベンチは皆見慣れた選手、スタッフのみ。
団体戦としてのベンチワークは圧倒的に日本有利か。




2試合目「ヒロインは石川。フルゲーム9-9からは圧巻のチキンレース。」
序盤から石川の技術が光る。コースの読めない広角のスピードドライブと、緩急のついたループドライブ。
粘着にしてから幅が広がったのか、ここぞとばかりにナックルドライブを織り交ぜてくる。
相手は愛ちゃんを倒したキムソンイ。バックカットが鬼のように切れていて、どんどん深く入れてくる。
フォアカットはあのレベルに見合わないほど技術が無いが、その代わりに圧倒的なフットワークと思いきりのいいフォア強打がある。
カットするくらいなら打ってやると根性で強打する。
闘志むき出しに、ネットインのボールに野獣の如く食らいついてくる姿勢はコリアチームにぴったりと言える。
技術の幅は無いにしろ、とにかく厳しいコースを、低いボールを出すよう教育されてきたのだろう。
ネットやエッジが多くなるほどに、ボール全体の質が高い。

フォア強打は対左に相性のいいシュートドライブやシュートスマッシュであり、何度も石川のフォアサイドをノータッチで抜いた。
バックカットはスイングがあまりに美しい。必要最低限のスイング、必要最低限の打球音だけが響く。
フォロースルーがここまで美しい選手はなかなかいないだろう。

両者がいいところを出しあう形でフルゲームになる。
フルゲーム9-9
キムソンイバックサーブでフォアにロング。
ここまでバックにハーフロングがメインだったものを突如勝負をかけてくる。
全く想像がつかず、実況の元鬼神・平野も絶句した。
9-10 
石川の真顔が怖い。一度死んだのかとも思えるほどに。メンタルが押し潰されるのではないか。そう思えるような表情。
キムソンイのサーブはバックにナックル系。石川ツッツキでハーフロングに処理、だが浮き気味、敗北か・・・だがキムソンイ打ちミス。
石川は何を見たのだ。
ここでミスをするという未来が見えたのか。
10-10
キムソンイのエッジ。石川呆然。
だが決してあきらめない石川。

ここからはお互いのベストなプレーのやり取りが続く。
かつてメンタル弱者と呼ばれた石川の姿はそこにない。日本のキャプテン、日本のエースとして恥じない試合を見せつける。

13-12
キムソンイの回り込みが再びエッジをかすめる。やはり一筋縄ではいかない。
即座に呼応する早田。彼女もまた試合に出ているのだ。
13-14
キムソンイの揺さぶり、攻撃を全て受け切って見せる。
受け専とも呼ばれたかつての石川は息づいていたのだ。
14-14
決め球はフォアミドル。教科書通りの綺麗な攻め。
そして決まる、馬場監督の強烈なガッツポーズ。
15-14
チキータから展開した石川。
ネットも対応。粘る、ただ粘る。
あの北朝鮮選手相手に粘り勝って見せた。
石川の粘りに根負けし、無理なボールを無理に打ちに行った姿から、諦めない北朝鮮に、諦めさせたとも言えるか。
試合直後思わず涙を流した彼女は、ホッとした表情を浮かべた直後、何か充実したような表情を見せた。





3試合目「ハリケーン平野復活」
粘着性にした甲斐があったと言える。
両サイドにボールが面白いように決まる。
ボールスピードも速く、高いボールにも強くいけるようになった。
バックストレートも外旋で打点を取り、少し時間を貰えれば内旋を入れより強いボールへと変えていく。
逆チキータも多用し、フォアへ繋ぐパターンが豊富になっている。
ただ強い。








まとめて

まとめといってはなんだが、この試合を通じて一番の働きをしていたのが早田、長崎といったベンチ組である。

早田は多様なリアクションで選手に「一人じゃないよ」とアピール、長崎が凛とした表情で「全部見届けるから」と熱視線、2人とも声量があり、重要な場面では自分の試合のように金切り声を上げて全力で応援をする。
最初から最後までベンチ総立ちで応援、一人一人がオリジナルのモーションでベンチを盛り上げていく。

これって、日本の学生卓球の雰囲気そのままですよね。

馬場監督もヒートアップするタイプだし、常にベンチは炎上状態。
加えてコリアルールによって、後ろにスタッフまでいるとなると、コートに送れる声量も熱気も一回り大きくなる。

団体戦が重視される日本の学生卓球経験者である石川、早田はコリアルールの方がベスト以上の力を出すことが出来たと思う。
ベンチで声を出すにも、全員がヒートアップしてた方がやりやすいし、応援される側もベンチで爆発しているアドバイザーがいた方が燃える。

試合に出た選手たちは本当によく戦った。だがそれ以上にベンチ全員がよく戦った。

団体戦は応援するものも含めて全員が選手である。

この言葉を以前先輩に貰い、その通りだとパフォーマンス卓球に寄って行ったかつての私達だが、日本対コリアを見た者であればこの言葉の意味がわかるだろう。

スーパープレーだけがパフォーマンスではない。応援に応えたプレーをし、お互いに高めっていくのも団体戦にとっては重要なのだ。




PS テレビ東京が映らない山形県では男子が見れませんでした。。。絶賛絶望中です。。。