※ノンフィクションです
ある日後輩Tは言った。
T「バルサミコさん、この前youtubeで見たんですけど、台を4台繋げて卓球したいんですよね~」
バ「横に繋げるってこと?」
T「違います。2×2で並べるんですよ。飛ばす打感とか弾く打感とか身に付けられるようですよ。」
バ「へぇ~(くそめんどくさいしつまんなそうだけど)面白そうだね~。」
T「あとでやりましょうよ~」
バ「(全然やりたくないけど)やろっか~。」
一通り練習した後、他の後輩の指導に夢中になっていた私は、Tに構うのを忘れていた。
すると練習が残り60分くらいになった時、思い出したかのように、
T「後輩S、4台卓球やろう、絶対やった方がいい。準備しよう。」
バ「(これやりたいだけのやーつ。無理矢理やん。)」
おもむろに準備しだしたT
T「よし、後輩S!試合だ!!」
――15分後―――
T「俺つえーーーーーー」
わちゃわちゃ楽しそうにやっている。
こんなにイキイキして暴れてるTを見ていると、何か嫌なことでもあったのかと勘繰りたくもなるが、ちょっとやりたくもなってくる。
バ「よし、T。勝負だ。」
私も初めからモチベとテンション全開。
サッ、と普段の台の面積と4倍あるコートに立つとどうも違和感がある。
そりゃ広くなったんだから当たり前だ。どこに立てばいいかもわからないし、相手も小さく見える。
というかネットが無い。
バ「おい、ネットはどうすんな?」
T「いやぁ~、つけらんなかったですね。」
バ「いや、つけろよ。」
T「なんかいいのありますかねぇ~」
バ「まて、すぐに考えよう。」
こういうアイディア勝負はお手の物。二人で大喜利をしていく内に、ニッタク勢のフェンスを逆さに使うことを思いつく。
足に近い部分についているマグネットを台の間に挟み込むと、ちょうどネットぐらいの高さの障害物を作ることができた。
さすが俺、ほれぼれするできに
T「その発想はありませんでした。」
でしょうね。頭ふにゃふにゃ、小学生とも張り合えるスポンジっぷりですよ。
さて気を取り直して
サッ、と構える。
T「あ、ルールなんですけど、台に2バウンドまでアリで~。」
卓球のルールどこにいった。
でもそうでもしないとバランス取れないか。
再びサッ、と構える。
Tが繰り出してきたサーブは初心者サーブの構えから思いきり振り切ったドライブサーブ。
ははーん、これはチャンスボールだね、思いっきりぶち抜こう
テイクバック小さ目に普段のスイングでぶち抜こうと強打すると、ネット(フェンス)の上辺にぶつかり、そのまますごい勢いでオーバーミス。
フェンスは硬いよ。。。
この辺で私は気付く。粘着性ラバーこの遊びに全く向いていない。飛距離が出なくてボールが低くてそれでいてスピン効かしたスピードボール出せるのが売り。こんなん全くあってないじゃないか。
続いてTのサーブ。次も同じようなサーブ。
ただ今回のはとんでもない回転量と伸び。ネットを越そうと高めに構えたはずのラケットの、上側の角に思いっきり当たってオーバーミス。
これ、詰んでるぞい。
そもそも何でこんなスゴイサーブが出るんだか。もしやあいつの使っているラバーは
両面テナジー05
もうこんなん勝てないよ。。。
普段の打点で打とうとすると、伸びが最高潮にあって打ちミスするし、だからといって打点を前にすると空振りするし、下げたらラバーで飛ばせなくてミスをする。
打開できる方法は小技しかない。
そこで思いついたのは初心者サーブの構えからボールの底を取り、自分の台に向かって戻ってくる下回転サーブ。
自分のコート手前で高めにワンバウンドさせ、相手コートど真ん中でワンバウンドするようにコントロール。
相手コートでワンバウンドした際、すぐさまフェンス直撃。
「白鯨」
バ「さあ、これで勝負は五分五分だ。お前の好きなようにはさせない。この白鯨がある限りお前のレシーブか…」
T「ルール追加!」
バ「はあっ!?」
T「それせこいんで、相手の台で3バウンドするボール打ったら、相手の得点で」
バ「ええっ!?」
ずるいよT・・・
そこからは悲惨だった。普通にやったらテナジーはあまりに強い。
アレスくんもラザンターくんももう1か月落ち。そんな弾性なんてないし、もとから弾道も低い。
ここで決めると勇んで打ってもフェンスに直撃、決定打が全てフェンスに邪魔されてオーバーミス。
用具が悪いと後輩の水谷隼に変えてもみた。
だがフォア面はキョウヒョウ、バックはモリスト。
ただ板が弾むお蔭で、カットで逆襲しようとした。だが、大きな動きに慣れてしまったTはブチギレのカットをツッツキで、それを私が頑張って拾うと、待っていましたとぶち抜き。
じゃあと、「スネイク!」と思いっきり横回転をかけてもみた。
だが距離感も、弾みもよくわかんなくてオーバーミスばかり。
こんなの無理じゃない。。
一通り遊び突かれた私は、普通に卓球をしようとした。
「打感系の練習をするのが目的」
だったはずだが、どんな技術でも打感が崩壊している。
それもそのはず、体を大きく動かすだとか、感覚だとか言うが、その感覚はあくまで「4台繋げた時」の感覚。
1台の中で収める為の技術では決してない。
こんな無意味なことをドヤ顔で理由つけてやらせる動画があるなら是非とも見てみたいと探したが見つからない。そりゃそうだろう、こんなこと考える人がいるならよっぽどバカだしただ遊びたいだけだ。
バ「おい、これ全く意味ないぞ。打感狂ったじゃないか。」
じとっとした目でTを見つめて少し怒り気味で言ってみた。
Tは無邪気な顔で、
T「そうですね。意味ないですね。」
Tが楽しかったなら別にいいか。
ただ卓球したかったなぁ。
そんな部活でのんびりしたひとときのお話でした。
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「肩を大きく動かすことを自然に覚えることができると思います」とのこと
シェークハンズの動画でしたね。