3hitを崩しやすい運動
↑の追記部分参照
肩関節と肩甲骨
↑のコメント部分参照



ペン粒が古武術卓球を独学してみたが、(布袋卓球アカデミーに入会したので)独学じゃなくなった。


の主さんとコメントのやり取りをしていて非常に面白いことに気付いたので、そこから考察。

どうやら主さん、相当に古武術を研究されていて博識を元にコメントをして頂きまして。
そんな方にコメントして頂けると、バルサミコとしてもうれしい限り。

ただここで「古武術では~」と引用をするのがどうも引っかかっていまして。

というのも、なぜ古武術に当てはめる必要がある?という疑問があります。

こう書くと、「えっ、さっき嬉しい言ってたのに、バルサミコ古武術disってるの?」
と思われるかもしれませんが、そういう意味ではありません。
コメントでやりとりしてみたところ、解剖学の観点も十分に網羅されており、古武術というだけあってかなり作り込まれているものだと思います。

けれど、「学問的な明快さがあるか」と問われると全てがそうではないと言わざるをえません。
解剖学と同じ用語があるとしても、それが本質的な意味で同義語とは限りませんし、医学用語は考察する上ではいわば公用語、最も普遍的で一般的な言語です。
加えて論理的に組まれている西洋医学、解剖学の方が、カテゴライズが厳密であり、より詳細まで考察することができます。
古武術的に正しいとされ、解剖学からも大筋はあっていると思えても、厳密には違うものも中にはあります。故に西洋医学では複数の意味の用語を1つにまとめられると、どうも本質から一つ外れたような違和感があるのです。
以前肩鎖関節のくだりをブログにしましたが、少なからず肩鎖関節からのアプローチだと誤解されて上達の幅を阻害される人も一定数いるはず、と思い私は好ましくないと結論づけました。
また、古武術用語や解剖学用語が全く使われない肩甲骨の考察記事なんかも私は相当苦手で、ふんわり抽象的な表現から筆者が何をどこまで考察したのか全く伝わってきません。
それ故に俗な表現も深読みしないようにし、俗な表現にはなるたけ俗な意味を持たせて読む、あるいは使うようにしています。


こう書くと、「やっぱり古武術disって解剖学に当てはめているだけじゃん」
と思われるかもしれませんが、そういう意味ではありません。
フラン氏と私の考察双方とも、「解剖学的にこうあるべきだから、全てがそうであるべき」というよりかは、「動作を考察した結果として、解剖学的に正しいと考えられるため、それが本質と考える」といったスタンス。
解剖学に当てはめてイコールの見つけてドヤ顔しているのではありません。あくまで解剖学から考察した上で適切と考えられるものをドヤ顔で解説しているのです。(ここ重要)


基本的な考え方としては細分化と名前付けを繰り返して、より本質を、より普遍的なものを見つけるのが目的な為に、最小として「感覚=最小単位の運動=3Hit」と設定し、それに足し算を繰り返した結果最大であるフォームが出来るとし、この最小~最大の間を色々な角度から行き来して考察しています。
その際「何かに当てはめる」といった考え方をしてしまえば、切り口が限定的になってしまい、より本質から遠ざかってしまいます。といっても、バックボーンとして何かしらの理論を持たれている方は様々な考え方にも触れる向学心に溢れている為、切り口による矛盾点の考察もされている場合が多いです。

ただこと私やフラン氏のような解剖学をバックボーンに考えている勢力は、矛盾があるならばむしろ医学という学問そのものが変わりますから是非とも矛盾を見つけて貰いたいものです。そのまま盗用して論文に・・・

とはなりませんね。多くは私達の勉強不足、もとい物理への理解が乏しい為に起こるものでしょう。
物理といっても高校物理レベルしか知りませんから、より原理的なところを突かれると辛いですが、ただ3Hitは卓球をする上で最小に近い理論だと考察した上で使っているものです。

以上から、絶対に正しい原理原則として3Hitを提示していますから、これを満たすことを前提として考察しています。別に無理矢理3Hitに当てはめようとしているのではありません。
これは勝手に当てはまってしまうから、当てはめようとする必要もないのです。(ここに異論を唱えられると困りますが・・・)

また3Hitも私の解説だとツッコミを入れられないようにわざと事細かに難しく書こうとしましたし、その結果わかりづらくなったので、簡易的で正しい3Hitはフラン氏の方でお願いします。私もいつかわかりやすくしたのをあげるつもりです、いつか。。。


また、名称付けもより本質がわかりやすいものを好みます。(それこそ現在の医学だとより直接的な名称を付けることが好まれており、見つけた人の名前をそのまま付けるような疾患の名称にはより病態を示すような名前を併記されます。)
それ故に「肩甲骨打法」と聞くと、「肩甲骨の運動」だと解釈します。
ただここで、王ダサ治 さんは見たままに「股関節を含む」と認識されてますが、私はいくら正しくても股関節は肩甲骨ではないから、それは拡大解釈かも、と認識してしまいます。

といっても、別にどうでもいいっちゃどうでもいい話ですが、私がやっている学問の考え方としては「拡大解釈を積み重ねるとヤバい」側です。
より病態を細かく理解して、より本質を知ったうえで考えるというスタンスです。

この辺の価値観の相違がありますが、これも「結果ありき。薬がきけばOK。原因はあとづけでよくない?」として東洋医学よりな印象を受ける古武術的思考と、「結果があったなら原因を見つけよう。それも事細かに探して原因の原因の原因まで探して、もっともらしい原因からより本質を突きとめよう」とする西洋医学よりの思考の対比が出ているのかもしれません。


ここまで書けばわかりますよね?
当ブログの回りくどさ、非実戦的なのは「強くなるのも大事だけど、本質を知りたい。」のが目的だから。
だからといって使えないわけではなく、当ブログの内容を理解し、自分の身体で実践出来れば確かな上達はできると思います。それ故に俗っぽいアドバイスをより本質を含んだ形でアレンジして記事を挙げたりもしています。

一方で古武術系などが簡易で実戦的なのは「まずは強くなるヒントを身体で覚えて、身体操作を円滑にしすぐに強くなる」のが目的だから。
確かに強くなる人は多いだろうけれど、最初から最後まで厳密に正しいわけではない。常に本質をブラッシュアップしながら使いこなせる人には最高の考え方。


再び考え方として対比するならば、
フラン氏や私の考え方
馬龍のドライブの動作を解剖学的に考察するとA関節では○○といった運動、B関節では○○といった運動がなされていると分かった。
A関節、B関節には互いに連動関係にあり、A関節が動けばB関節が動く。それ故にB関節はA関節に付随する運動として起こる。
実際に様々な選手の動画を見たり、実戦してみた結果、A関節の運動の方が重要と考えられた。
よく言われるアドバイスを分析すると、どれもA関節の運動を内包する、あるいは帰着するようなものばかり。
試しにB関節の運動を制限してみたところ、結果に大差はない。逆にA関節を制限しながらB関節を動かそうとしてみたが、どうもうまくいかない。
以上からA関節の運動がより上位のもので必要なものと考える。
この関節の運動をベースとして、より円滑化する運動をするにはC関節の運動も足せばよい。

古武術的な考え方
馬龍のドライブの動作を古武術から考察すると、古武術のAという動作が使われているように見える。
このAという動作の本質はBという関節を動かすことであるため、Bという関節を意識すれば良い。
Bという関節を意識して実践してみたところ、ボールは著しく良くなった。加えて現行のフォームは馬龍により近いものとなった。
中国卓球には古武術卓球が見え隠れしている。


大体のイメージはこんな感じかと思います。

ですので、最後にくどくまとめるならば、フラン氏や私の研究スタイルは解剖学を武器に実験、研究して本質を考察する。古武術的な考え方は、古武術の本質を理解し、より近い動きに当てはめることで動きを円滑かつ強固にする。(もし仮にこうした考え方で無ければより適切な表現があるかと思いますので、、、)


どちらも正しく、どちらも勉強のしがいがあるものかと思います。
ただ物の見方、物の考え方が根っこで全く違う、それ故に結果が同じでも過程が違えば使い勝手は異なる、ということは最後に強調しておきたいと思います。

PS.
ここまで書けば古武術disじゃないと伝わりますよね(汗
読者さんも、古武術は面白いものですので、ぜひ研究なさってください
流石にそのまま古武術を学んでも、その辺のわかりやすい指導法の一つとしか見えませんでしょうから面白みは半減かと思います。研究なさる際は、解剖学を勉強された上で、実験考察実験…と繰り返し、古武術と解剖学の融合系を体験されて下さい。柔軟に考えることが出来れば、世界で誰も知らない本質が明らかになるかもしれません。
私も時間があればやりたいところですが、、、、もう時間がなくてできませんので。