昨日リアルタイムで見ながら感想を三連発で上げてみてが、一つだけ拭えない疑問が生じた。

「今回ドイツと当たってない」

テレビ東京で調べて見たが、どうやら韓国に負けているよう。
オフチャロフ、ボルの双璧がいるドイツがなぜ韓国に?
調べてもろくな情報が出てこないため、Youtubeで動画を調べると、どうやらボル様が出ていないご様子。

一枚抜ければしょうがないか。。
シングル5本の団体ならば出て来たのかな?

しかして欲を言うなれば、バチバチのプラボール卓球へと変化した張本とオフチャロフの試合が見てみたかったところ。








さて、今大会を通じて日本勢を語る上で二つの点は欠かせない。

一つ目は上田仁が倉嶋監督に見つけられてしまったこと。
二つ目は全日本で大爆発した張本はどこにいった?

上田仁が倉嶋監督に見つけられてしまった

本大会は誰も疑いようが無いほどに、上田仁の為の大会、上田ジャパンと言っていい程に主役を張っていたのは彼だろう。
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韓国戦ラスト最終ゲーム:6-10から10-10に追いついた場面


決勝まで全勝という快挙は水谷の安定感をも彷彿とさせ、丹羽とのダブルスはお互いが起点プレー、決定打と役割をめまぐるしく切り替え、クリエイティブな卓球で場を支配した。今は無き高校卓球最強・青森山田のDNAが世代を超えて繋がっているのだと感じさせた。
準決勝の韓国戦での勝利は上田仁がいなければ絶対に成し遂げることができなかったものだ。ダブルス、シングルス共に格上相手だが、臆することなくいぶし銀たるプレーを続け「俺が上田仁だ」と言わんがばかりの強烈な主張だった。

また、ベンチ力も非常に高い。
長年日本リーグで試合を重ねているだけあって、団体戦を熟知している。
試合中の選手を見つめる熱いまなざし、目と目を合わせれば励ませるほどの語りかける表情、声にハリがあってよく通り、誰とでもキレイにはもれるような絶妙な声の高さ。
そして、試合に出ればメリハリのある声出しと、自陣の使い方。
ベンチ、コート双方での立ち振る舞いがまさに団体戦向きと言っていい。
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同じく10-10に追いついた瞬間のベンチ。上田のプレーが日本ベンチに一体感を持たせた。



試合中のポーカーフェイスもクールだし、場面場面でリスキーなプレーも、一番無難で期待値が取れるプレーも混ぜる試合巧者ぶり。
要所
待ちを外されながらもストレートに果敢に攻める上田。

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直後唖然とし、痺れたような表情をする丹羽。



対日本選手の選考会だけでは見つかることのない、プレッシャーがあり人の目も多い団体戦でこそ輝く彼の特性を予め見つけていたのか、それとも今回初めて見つけられたのか。

しかしあえて言おう。
団体戦でジョーカーと呼ぶにふさわしい活躍ができる上田仁が、倉嶋監督に見つけられてしまった
のだと。

水谷の穴を完璧に埋めて見せた上田仁。
張本に経験を積ませる為の大役を見事にこなすだけでなく、エースとしての活躍もして見せた。

上田仁は今後ますます強くなる可能性は大いにある。
今後も上田仁ファンとして、注目していきたい。

再考
可愛い丹羽。 



全日本で大爆発した張本はどこにいった?
単にプレッシャーでやられた、と言ってしまえばそれまでだが、卓球の特長が全日本と異なるように思える。
全試合通じてミスが多かったのが、①バックストレートにスピードボールを送ろうとしてのオーバーミスと、②フォアミドル処理である。
①に関してはそうしなければならないほどに追いつめられていた、という風に見える。
とういうのもストレートにいつも通りのフォームで送ろうとすると、いまひとつスピードが出ずカウンターの餌食にされる。
全日本の張本はバッククロスにスピードボールを送れば次のボールは高めに来るため攻めが切れなかった。これは相手にバッククロス待ちを強要するのと同義で、ここでバックストレートとの択が発生する。全日本時はバックストレートに通常通り送れば十分に早く、よりアドが稼げた為、バックからのコース取りが強い縛りとして機能していた。
一方今大会はボールの影響もあってか、どうもバックのボールスピードが遅い。
いつもよりも前に振ってスピードを出そうとすれば、確かにスピードが出るのだが、その分回転量が落ちる。
故にストレートで一度動かしてからつかなければ有効打になり辛く、そのストレートも通常よりボールが遅い為にいつもよりも打点を早めるなり、スイングを前にするなりしなければならず、打点が窮屈になる。徐々にミスがでやすい打法になる。
得意パターンがバックからの展開な為、バックで起点を作ってからフォアで打ちぬくものが多く、打法も高めのボールに対して強く、ミドル等低めのボールの処理は弱くなりやすい。
以前考察した外転位ドライブも一旦内転をしなければ打点が作れない為、ミドル処理が遅れてしまう。
ここを突かれている場面が非常に多い。

全日本では、スピードボールからミドルを突かれていたが、それは流れでバックで処理で優勢をとれていた。
今回はスピードボールが出ず、前に振ってしまう傾向があってか、バックを振った後のラケット位置が体から離れており、バックでミドル処理をするというよりかはフォア処理をしてしまいたくなる状態が自然とできてしまっている。②が打法的にも、戦略的にもあまり辛くなってしまい、ファンツェンドンには執拗に狙われていた。


総じて劣勢になった局面の原因の多くはバックで早いボールが出せないことだと考える。
ピッチフォード、ファンツェンドン戦共にバック対バックで緩急をつけられるとスピードボールが出せない欠点が明るみに出た。

これに対しての対処法は回転をかけて浮き球を貰う、バックの打法をプッシュ系からドライブ系に寄せることなんかが挙げられるが、それはなかなか怪しい気がする。
回り込みの比率が小さく、フォアミドルが欠点だったこともあり、もうしばらくしたらフォアのフォームも変わるのではないだろうか。
対上、対下に純粋に強いフォームから、ミドルで強打できるようなフォームに。
肘を畳んで下→上方向へのスイングが現在はあまり見られていないし、対右でのシュート系の球種もない。

まとめて
ニッタクボールでは攻めが切れない純粋な暴力卓球が出来たが、チャイナボールでは常にそれが出来ない。
だが、常にそれができないだけで、できる局面はある。できない局面、つまりはより臭いところを狙われた際の回答を準備できれば張本が世界を相手に無双をする時が来るだろう。
そしてそれはそう遠くない。

今回の張本の結果は絶望するべきものではない。計画的に仕組まれた発展途上の卓球で、ザンコーチの想定通りのものなのかもしれない。