フォアもバックも前腕を使って~とよく言われるが、これは多くの場合嘘を言っているというように最近思えてきている。


あくまで「多くの場合」と枕詞を付けるのだが、その多くの場合とは「安定してミスなく打つことができない場合」である。

フォアとバックを教わる際、前腕を使って振るとボールに力が乗る、スイングスピードが出るとごもっともなことを言われるだろうが、そうして入る条件を明確化している指導者は少ないし、それを提示している指導動画は見たことが無い。「誰もがそれでできる」基準などまだ研究されていないのだ。

最近その人のフォームの間違いを指摘する為にスクリーニングとして「中陣での中打引き合い」を教えるようになったが、出来る人が少ない。


両ハンドで中陣から続けようにも5本、6本が関の山。まあその日のうちにやり方を教えて、20本は続くようにはなるが・・・


中陣から引き合いをするとなると打点がどこに設定されているか、前中陣でフォームの意識をどこに持っていくかをどう勉強しているかが問われる。

ただ「前腕で素早く振る」だと、打点が前になり、つんのめってオーバーミスを多発する人は多いよう。
実際プロ選手の試合を見ていても、確かに前腕で振りまくってる選手はいるっちゃいる。
だがそうした選手ってすごいボールを持っている一方でミスが目立ったり、ワンコースでは強いけれど振られるとぼちぼち変なミスをしたりする。
それ故に「前腕で振ればなんでもOK」みたいな宗教を信じていいのは、異様に強い人だけで。一般人はもっと多くの関節を使いましょう。


さて、なぜ前腕を使うことが悪なのか考察する。

と言いながら、前腕を使うことは、悪ではないというのは上述した通り。
注意点が前腕しかないというのがいけないわけで、他の注意点さえあれば前腕で振ることだけに頼らずとも安定したボールを出すことができるようになる。

前腕で振ることだけに意識が注目すると、フォアバック共に打点が前になりがちになる。
それに伴い前に強く振る為に左足前の姿勢を取り、ふみこみ+腰を回すなど打点が前で無ければ入ることが絶対にない、日本卓球の最悪の文化を自然と取り入れ、相手のボールの質に自分の安定感が完全に依存してしまう。

実際どう振ればいいのか、というのは過去記事を参照されたい。
バックハンド
フォアハンド

要は上腕~肩回りを上手く使いましょう、そうすると前腕を使わなくてもいいから前に振る必要が減り、安定して入れることができるという論旨の過去記事。


加えて、私は手首を使うようにお勧めしたい。

ここで「えっ、手首は使うな言われてきた」と思う人たちは多分手首の本当の使い方を知らないから。
フラン氏ブログ「手首の使い方」

以前も同じ流れで上のブログ記事をオススメし、同じような考察をしたような気がするが、今回は手首にもバックスイングがあることを紹介したい。


BlogPaint

上の図のようなラケットワークを手首だけで完遂することは誰もができることかと思う。

例えばフォアハンドにてちょうどラケット正中が赤線に合ったときにインパクトするとすれば、尺屈位~自然肢位までがバックスイング、自然肢位~橈屈位までがフォロースルーと言えよう。

この赤線にあった時は言うなれば一瞬であり、ここでインパクトすることは音ゲーでいうPERFECT判定を出さねばならず非常に難しいものとなる。

それ故に、その人のインパクトする際の面にもよるのだが、手首を使う際尺屈位→橈屈位を入れると不安定になりやすい。

例えば尺屈位~自然肢位までの間でインパクトするならば面移動はその間少ないため安定するかもしれない。
だが、自然肢位より先に一度ずれてしまえばもう安定しない。なんなら前に振っちゃうかも。

それ故にズレた先に違う面があるならば、あらかじめズレても面が変わらない、面が変わりにくいような始め方をする方が賢明なのではないだろうか。

故に自然肢位からスタートし、橈屈を入れてインパクトする。

実際最新型のバックハンドを見ていると、ラケットヘッドを自分側に向ける選手はかなり減ったし、多くが回外して面を絞り、橈屈を入れてインパクトしている。

ちなみに回外をして面を絞ると尺屈からスタートしても面が変わらない為もっと手首を使えるなんて話もあるが・・・ややこしくなるからカット。上級者だけ使って下さい。


まずは基礎打ちの段階で面移動を起こさないこと、加えてスイング半径が最小になることを意識して、前に振れないようなスイングを作り出すと前腕信仰から抜け出せる(かも)

これ読んでも上手くいかないなーって場合は当てる場所が悪く感覚が乗らないケースに該当するかも。

そういう人は感覚→フォーム→感覚→フォーム・・・って調整する必要があるだろう。