以前ゲームで使ったバックストレートへの早いアップ系のバックサーブ。
やたら早くてやたら伸びてノータッチで抜けた、奇跡のクオリティ。
あまりに良すぎて自ら感動し、それ以後何故かバックサーブを使うことを躊躇した。
そう、あまりに強すぎるから()
いつもの私であればバックサーブは短く低く出して台上~カウンターで勝負したい時に用いるのだが、どうでもいい練習試合だしと適当に色々サーブを放っていたら「たまたま」出てしまった。
その時の感覚、体験を元にここ2~3週間位バックサーブの構想を練り、色々な人に教えてみて一般化できているか、有効性は十分にあるのか検証し、考察した。
【問題提起】バックサーブを出せるとは?
そもそも皆さんが抱くバックサーブとは何だろうか。
オフチャロフ、宮崎先生、カットマンetc...そういうイメージか。
あとは全身を使って打つイメージなんかもあるかもしれない。
バックサーブを出すメリットとしては感覚がなくても出しやすい、戻りが速くなる、デメリットとしては出せる横回転が一方に偏る傾向にあることか。
それらを理解してバックサーブを出しているのに、「何故か短くコントロールできない」「短くするとかからない」「速いロングが出せない」「アップダウンがつけにくい」「同じフォームを意識して出せない」等悩みを抱えてはいないだろうか。
それではバックサーブを出せてはいるが、「満足には」出せていない。
今回の焦点はバックサーブに潜む原理原則をあぶり出し、誰もが自在にボールコントロールできることとする。
そしてそれが実現できて、誰もが簡単に切れて、コントロールしやすくなるポイントが意外なところにあることが分かった。今回はそれを解説していく。
【原理原則とは】トスにある
※本項では3Hit、感覚と運動の関係性について理解していることを前提とする。
参考記事:(重要)3Hit theory
参考記事:感覚は大嘘~唯"感覚"論へのアンチテーゼ~
バックサーブをきっちりかける際、適切な運動条件を設定する必要がある。
よくあるバックサーブの指導法として
「空間を作って」「腰を回して」「引っ張って」
なんてのがあるが、これを実際にやってみてできる人、できない人がいるだろう。
できない場合さらに教えられることとしては
「底を取る」「もっと薄く捉える」「飛ばして感覚を掴んでそれを台に収める」
なんて感じかな。
それでできる人はできるし、できない人はできない。
ただ、できる人でも全ての回転を自在に操れるかといったらそうではない。
そう、この指導法に本質は見え隠れしているが、直接的な言及がされていないからである。
最初にネタバラシしてしまうと、バックサーブの最重要要素は「トスの位置」にある。
それに関して以下図を用いて説明する。
また見づらい図でごめんなさい
自分がいる位置をxy面(z=0)とすると、青枠がラケットのいる面、緑枠がボールのいる面と設定できる。つまりz=∞方向から見た場合、必ずボール→ラケット→体の順にいるとできる。
この際ラケットは体の後ろにいかないこと、また、ボールを後ろからインパクトしないとボールは前に飛ばないことから、ラケットより必ずボールは前にあることを前提とする。
また右利きであり、バックサーブでインパクトをする際は-x方向に運動することとする。
さて、回転をかけるために必要不可欠であるのは、3Hit Theoryに基づき、「後ろから前へのベクトルを少なくすること」が挙げられる。
それ故に青枠と緑枠のZ座標が3cm以内である必要がある。
また、前方向の運動を出にくくするためには体から打点が近く、-X方向のインパクトをする必要がある。それ故に赤枠と青枠のZ座標が近くである必要がある。
以上から、3Hit条件化を見たし、前方向のベクトルを入れないようにするためには
ラケットは体の近くであり、トスはラケットの近くである必要がある。
軽く例を出せば、ボールが明らかに体の前、仮にボールZ=50cm、ラケットZ=10cmだとした場合台に収めるのは困難だし、出せる回転の制限も大いにある。
大方回転をわかりにくくし、様々な回転を出せる選手を観察していると、なるたけ体の近くでインパクトしているだろう。
少なからずそうしなければ回転量が落ちるし、複数の回転をかけることができないからだ。
故にトスをする際は、必ず三点の位置を確認することが、自分から前方向のベクトルを消してボールの飛距離を無くし、回転をかけやすい条件を整える為に重要であると言える。
こういうといやいや、オフチャロフは結構遠くだよ?
なんて反論が来るかと予想されるが、なんだかんだ斜めに投げて体の近くでインパクトしている。
つまりは上記の条件を知らずに満たしており、おおよそ体感的にこうすれば切れると誰もが行きつく答えであったりもする。
【トスの方法】
近くであげる際は運動制限をかけることで安定して同じ高さでトスをすることができる。
具体的には肘を脇腹の近くまで引くこと。大方トスが安定しない人は、脇を開け、肘の屈曲で上げるきらいがある。
肘の屈曲が大きくしやすい状態であれば不安定化するのは明白。
予め肘を曲げて、無駄な動きができないようにしていれば安定しやすい。
【ぶっつけサーブ論】
ここからは蛇足だが、みなさんは「ぶっつけサーブ」をしたことがあるだろうか?
やたら回転がかかって、やたらスピードが出る違反サーブだ。
実はこのトス位置の話はぶっつけサーブをしているのと同義である。
というのもぶっつけサーブをする時、体から離れて前で切ってもうまくかからないだろう。
よくかかるときはそれこそ、体の近くでインパクトした時。
つまりは体の近くでトスするのと意味合いとしては同じ。
しかし、トスをした場合ぶっつけとは違って上下方向の自由落下運動があるため、その分インパクトが難しくなる。
それ故に、ラケットヘッドを落として、なるたけラケットの下側でインパクトすることを意識してみて欲しい。
ヘッドが下を向いていればラケットに当たった時の垂直方向の反発を抑えることができ、上下方向の運動を「比較的」無視できる。
【ラケットの面づくり】
人それぞれだが、前方向に絶対ふれないように運動制限をかけた方が最初のうちは安定し、感覚として掴みやすい。
それ故にまずは回内運動+尺屈or橈屈で面を固定したままインパクトしてみて欲しい。
この面固定の度合で弾道、回転が大きく変わる。
細かいことを言えば色々あるが、まずはトスの位置と、インパクトの位置を体から近くに、そしてその二つを近づけるよう工夫してみて欲しい。
各論編を書くことがあれば、色々なバックサーブを上記のような視点から考察していく。
追記
読者さんのコメントで プラトノフという名前が出ました。
我々一般レベルでも自在に扱えそうなフォームのバックサーブを使う選手です。
ぜひ参照してください。
全体的に窮屈そうで下手に見える方もいるかもしれませんが、シコラー卓球としては安定感抜群といっていいのではないでしょうか。
コメント
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素晴らしい記事ですね。
【ぶっつけサーブ論】のところで学ばさせて頂きました。
ありがとうございます。
今のところ記事内容を誰に教えてもバックサーブが上手くなってますね。
是非試してみて下さい。