明日書こうかとおもったが、書き始めたらさくっとできてしまったので、あげてみた。



君は、 大矢英俊を知っているか?


私が好きな種類のバックハンドを打つ男が彼、大矢英俊である。
そして、大矢英俊もまた「高速卓球の使い手」であると言っていい。



最近よくメディアが口にする「高速卓球」とは何なのか。
先日挙げられたXia氏の記事に高速卓球とは何かと考察されていた。
http://xia.diary.to/archives/51417533.html
要約すれば「高速卓球とはピッチが速く、ボールが速いこと。それにより相手の自分を奪い、さらには自分の時間も奪われる」とのこと。

確かに言葉通りの意味で高速卓球を捉えればそういう意味となるだろう。しかし、私はあえて高速卓球を三通りに分別したい。主に「打法的観点」からの考察となる。


私が考えるに、高速卓球は大きく三つにわけられる。
一つは回転系か、もう一つは非回転系か、そして現代的であるハイブリッド系かである。
基本的に前陣でやることが当たり前となった現代卓球において、全ての技術は高速卓球といっていい。

その高速であることによるメリットは相手の時間を奪うこと、デメリットは自分の時間も奪われうることであることは全てに共通するが、この時間がそれぞれ異なる時間であり、攻め筋が変わってくる。

回転系高速卓球である場合を考察する。
前陣で回転をかけることで、前陣でかけることによる時間的圧迫に伴う回転量の判断時間を奪うことで次なるチャンスボールやミスを催促することができる。その一方で相手に上手く処理された場合、回転が残ったりしてくるわけで、それもピッチが速く返ってきており自分も上手く判断できなければ厳しい戦いを強いられる。つまり、ゲーム性としては「回転を操る繊細なボールタッチや判断力」を競うものとなる。主にこの卓球を用いるのが中国人全般、女子全般、日本では石川、平野早矢香などが代表的。


非回転系高速卓球である場合を考察する。
非回転系である場合、自分からはナックル系強打により、時間的側面と回転制限によって相手からの強い回転を無くし、次以降の展開を読みやすくする。自分が強打を打つと決めた瞬間から次までのビジョンが自分の方が見えているという意味で、3手先の相手の判断時間を圧迫することができる。次のボールも速いナックル系で来やすい為、次のボールに慣れているならば狙いやすい。しかしその一方で、意図しないボールが来た際の劣勢っぷりは酷いもの。前でプッシュするわけだからボールが深くきたり、ループをがっつりかけて返されたりするだけで、プッシュの打点を早いタイミングで安定させることができなければ時間的拘束を強いることができず、結果的に弱いボールになってしまう。そうなればプロであればそこを狙いぶち抜いてくるわけで、スピードで自分からアドバンテージを取れない場合は劣勢に陥りやすい。ゲーム性としては「プッシュ前後のシステムと、その対応。」が競われ、勝負師、玄人でなければ成立させ辛い戦型となる。主にバック表の選手や、張本なんかがその代表か。


ハイブリッド系高速卓球である場合を考察する。
まさにこれこそが現代の高速卓球と言うべき考え方であり、これを売りにしてみうちゃんは一躍スターへと躍り出た。
彼女の打法は一昔であれば「フォームが小さくボールが弱い」なんて平気で言われていただろうが、そんなことを払しょくする。
バックドライブというよりかは、バックフリックと言わんがばかりの小さいバックスイングと小さいフォロースルーで、ボールとラケットの距離が近い段階からボールの側面よりをインパクトするようにスイングし、サイドを狙う。
回転としては弱ドライブ程度だろうが、フリック系打法によりボールスピードは担保されており、台のサイドを切るため、相手から遠いサイドであればボールスピードは見かけ以上に早く感じる。
露骨な例えをするならば、100km/hのボールが10m先から投げられると、80km/hのボールが2m先から投げられるのではどちらが自分まで届く時間が短いかと言われれば間違いなく後者である。
そういった卓球をするのがみうちゃんの高速卓球である。一言で言えば「体感時間」を高速にした。
実際みうちゃんがサイドぶち抜きを披露して「高速卓球だ!」と言う瞬間もある一方で、サイドに行かずに高速と言えそうなスピードボールもポンポンラリーで繋がれている展開も何度か見たと思う。

これを見れば単にボールスピードが高速なのではなく、コースのメリハリがあってこそ相手により早く見せられるのだと考えられる。

また。サイドに決まれば基本的にボールの内側しかとらえられないため、軸をずらしての返球は難しくなる。回転軸に沿った返球しかできないということは次のボールのコースであったり、強い返球が来ないし、自分のかけた回転もボチボチの上系であるため追撃も狙いやすい。

デメリットとして挙げられるのは「サイドを狙えないボールが来た場合、相手の回転系高速卓球との分が悪い」と言うこと。
あれほどに中国選手に対して良かったのに、サーブレシーブから崩され、ラリー中に回転量で裏打ちされた球威のあるボールを散らされたみうちゃんは止めるか無茶うちする他なかった。
ラリー中にも丁寧に真ん中に立たれフォアサイドを消されてバック攻めをされたり、バックプッシュでフォアミドル付近を狙われたら点数を取ることが難しくなっていた。
また、正面に来るような強い下回転を持ち上げるにはボールの真後ろを捉えねばならず、側面を捉えるようなハイブリッド高速卓球的打法だと持ち上げることが困難であり、他の打法との取捨選択を迫られ、強い下回転で発生した択で自滅してしまう可能性もある。

こうした平野式高速卓球の弱点は十分に存在する。

ハイブリッド型高速卓球はいち早く大矢英俊がやっていたイメージが強い。
「打法がおかしいけどなんかすごいボールが入る」「不器用だ」
なんて文句を卓球王国か何かでたびたびみたことがあるが、これは先進的過ぎて理解されなかった打法と見ていい。
今誰もが見返したら、この打法の素晴らしさに気付くだろうし、むしろなぜ彼が世界で勝てなかったか疑問に思う人もいるかもしれない。
彼の卓球を考察し始めたら私はもう止まれないのでこの辺にしておく。まずは動画を眺めてみて欲しい。



さて、卓球界での注目度の観点からの真新しさでいえば、ハイブリッド型高速卓球が一番で、これこそ今もてはやされている高速卓球そのものだろう。

高速卓球のカテゴライズは大まかに三つにわけたが、本当はもっと種類があるはず。

平野式の卓球は今後誰もが使えるものになっていくだろうし、それに対する対策もまた他の高速卓球でされていくはず。
現に回転式、非回転式、ハイブリッド式で既に三角関係みたいなものが出来上がっている。
今後はこれらの種類を状況に応じて使い分ける卓球が主流になることだろう。
打法の取捨選択に加え、どういった早い卓球をし、どういったフィニッシュを狙っていくのか
そうした状況判断能力に長けている選手が今後世界を席巻していくだろう。
そんな中でもフィニッシュまでの展開を早くしたという意味でみうちゃんはパイオニア。


そういう意味でみうちゃんを高速卓球というよりかは、「スキップ卓球」とでもいった方がしっくりくる。

展開を早く理不尽にするという意味では丹羽もずっと行ってきた。

彼の卓球の軸はカウンター、いかに誰も触れないカウンターを放つかが焦点だが、常にサイドを狙うというわけではない。
「ビックリ卓球」だから、相手がビックリするようなボールであればどこに打ってもいいというか、、、天才です、丹羽君は。



今後も高速卓球の研究を続けていくが、現状の着地点としてはこんなもんで。


みうちゃんの卓球から、今後の卓球界の動向予想までしてみた。