Aruna 


アルナと聞いて思い出すはジーコとの大激戦、というのは通ぶった人だろう

一度大爆発したアルナ、そこからはあまり大きな活躍は聞かないが世界上位レベルで「不器用な卓球」を成立させている選手

黒人選手で強いというと多少差別的なニュアンスを含むのかもしれないが、筋肉隆々で身長が高い選手は卓球に向かないというのが定説な中で、なぜ彼のような卓球で上位選手と戦えてしまうのかというのは誰もが一度は疑問に思ったはず

今回私が見ていて面白いと感じたのは、フレイタス戦

試合の流れを纏めるならば
1、2ゲーム目はずっとフレイタスのターン。
サイドを割ったり、バックバックを仕掛けて完遂したりと自由な卓球。
得点パターンとしてここで確立されたのは、ミドルへの強打と、フォアストレートの強打、また多少低めのハーフロングのボールをループで起こすのではなく、早めのボールを低くミドルorストレートに送る
おおよそフレイタスの序盤の気合いの入りようからしても、過去に負けていたりとか、団体の重要場面であり、研究筋のパターンで確実に潰しにいこうとしたスタンスか

3、4ゲーム目は一転してアルナのパターン。
バックバックにてボールの質をより長めにすることでナックル性のボールをフレイタスが取り辛くし始める
ボールが長くくることにより、前に振りきっての回転の乗ったボールはフレイタスからは出しづらくなり、ラリー展開に

また、バックバックになる前提として、アルナのレシーブが若干低くなったこと、フレイタスに対しアルナの横系のサーブが効きストップが出やすくなったことも挙げられる。

1、2ゲーム目に特長的に見えたフレイタスのフォアストレートへのぶち抜きが息を潜めてしまった。
低めの出るかでないかのボールに対してはフレイタスは割と前で構えているためぶち抜きにいけない。
クロスにループで繋ぐほかなく、そこをアルナのバックで狙われた。
ループせずにスピードドライブ気味に返してもアルナの脚力で追いつかれ、結果的に不利展開となる。
また、アルナのサーブが効き始めたことにより、アルナの三球目にも余裕が見られ始める。
印象的なのは打点をしっかり落としてのスピンの効いたループ。
これが結果的に刺さりブロックミスを誘う。それ以降フレイタスはバックにドライブされた場合ミスを恐れるがあまり、入れるブロックに意識を取られるようになる。
そこを知ってかアルナのドライブもスピードドライブであったり、ストレートにパッシング気味の多少スピードを落としてのドライブ等緩急をつけ始め、更に的を絞らせなくし、ブロックを催促した。

ここでフレイタスが開き直ってカウンターや、プッシュ系でミドルを突くことを徹底していたら、1、2ゲーム目に戻れたのかもしれない。

5ゲーム目には、アルナはぼちぼち、フレイタスは事故り始める
もともとアルナは一発があるし、ミスの期待値が高い一方でフレイタスは繋ぎ続けラリー中でアドをとるタイプ。
ミスの重みがフレイタスの方が重い。
フレイタスのミスの中でも一番印象的だったのは6:55~からの、4球目でフォアストレートへの打ちミス。
フォームを見てもループで行くのか、ぶち抜くのかどっちつかずであり、ボールスピードも微妙な一本
アルナのボールとしても、我々でも打ちミスをし辛い超チャンスボールであり、あれをしっかりフレイタスが決めていればフレイタス勝ち確の点数となっただろう。
ここでのミスの重みは両者とも十分に態度に示している。
項垂れるフレイタスと、ここぞとばかりに煽るアルナの構図。
aruna
 

これはアルナ勝ちますわ、、、、



 しかして、技術量が明らかにフレイタスの方が豊富であっても、展開的に優勢を保ちそのまま譲らなかったアルナは頭脳的。

強い択での期待値の取り方が練られている

一方でフレイタスは自身の卓球を理解しつつも、どこか楽をしようとしたコース取りが垣間見え、アルナのバックバックから避けて逆に打たれてしまう展開も見える


頑張るスタイルの選手でプロであってもこんな戦い方のミスで取りこぼしをしてしまう


頑張るスタイルの選手であればなおさら、自身のスタイルを理解しての初志貫徹は必要不可欠。

そうでなければ期待値は取れないのが頑張るスタイルの特長であるのだから

プロの試合から改めてそう学べた、そんな動画。