前回記事
技術的優位性と精神的優位性の考察から質の高いボールの本質を探る 
をスタッツの観点から考察した為、スタッツ論と今後呼称する。
カテゴリーにもスタッツ論としていれておくので、今後はそれを活用されたい。



今回スタッツ論に関して追加しておきたい事項として

1 MSは高TSのコストとなりうる
2 MSは考え方一つで消費されるものにもなれば、リセットされるものにもなる

の二つがある。


1 MSは高TSのコストとなりうる
強いボールを打つ為に自分の意識をそこに向けるということは二つの意味合いがある。
一つは強いボールが打てるボールが来たからいつも通り打つ。
二つ目は強いボールを打たなければいけないから、意識を向けて打つ。
前者においては人は無意識に意識を向けている。
単純に高いボールが来たから強打した、ということに関して自分がコストとして支払うものは何もない。
強いて言うならちょっとした体力か。
この意味でみるとMS消費は→or多少↓

 2 MSは考え方一つで消費されるものにもなれば、リセットされるものにもなる
状況としては自分がカウンターをすれば得点になるが、カウンターをしなければ劣勢になる状況。
例えるならネットよりも微妙に高いループドライブがミドルにきている。
そこをバックブロックした場合、自分の癖として押してしまう為、入りはするが深くて甘めのボールしかいかない。
そこを相手としてはMS消費なく強打することが可能。
再びブロックするのは不可能ではないものの、ラリーになった場合はジリ貧となる。
できるならここで カウンターをしておきたい。カウンターはできなくはないがミドルに来たボールを待つ必要性がある。

 この状況においてはカウンターはしなければいけない技術といえる。
優勢を取る為にも、カウンターをした後も考えるなら必要不可欠。
だが、ここでカウンターをする為に支払うコストとしては、自分の意識・待ちといったMS。
俗に言う(5、5)の待ちを(7、3)の待ちとして、待ちが外れた場合に劣勢を強いられてしまう。
つまり、カウンターというTS↑の技をするためにMSの消費が強いられるため、繰り返しカウンターを狙う度に相手にも待ちばバレ、変化を付けられてしまう。
つまり、カウンター側のMSの拠り所を拡散させることを強要され、結果的にMSが下がり、TSも縛りが入り、スタッツも下げられていく負のスパイラルに陥るということである。

待ちをするということはMSを消費することに他ならない。
そのため、待ちに意識をつかわなくていいようにパターン練習や、ボールを見てからでもゆとりを持ってその技術ができるようなTSの余裕を普段の練習から身に付けておく必要がある。

高TSを打ってもMS消費が起きない相手にはどうやっても負けようがないわけだ。


一方でMS消費がない戦い方もある。
それが中高生によくある、来たら全部思いっきり打つという、一切考えない考え方だ。
打てなかったら繋いで次のボールを思いっきり打つ、これを繰り返していくことには、「今ミスをしたボールを打てなった→だから次に強打しようと意識する」といった要素が欠如しているため、基本的にMSが消費されない。
だからこそ、誰もが知る中で言うなら、全日本決勝吉村兄vs水谷の試合で吉村が優勢を保ちつつ勝てたわけだ。
水谷はただただMS消費をし続ける一方で、吉村はTSでごり押しした。
(その後吉村は世界に飛び出した際、相手にTSを縛られて、先に高TSをぶっぱされ続け、そこで意識し、MSが落ちて負けるといった試合をたくさん経験するわけではあるが)

何も考えないことは、MSを消費せず高TSを打ち続けることができる意味合いでは非常に強い。

相手は中学生。長いサーブに対してはぶち抜きが安定して入る。
待ちは常に長いサーブ、だが短いサーブは上手く返せずチャンスボール。
だがそのチャンスボールもなかなか打ちづらさを感じるもので、自分としてもMS消費が必要な感じ。
できるならロングサーブと短いサーブで変化をつけて、短いサーブを意識させ、長いサーブでもうち頃のチャンスボールを貰いたい。
しかし、相手は全く短いサーブを意識してなく、練習通り長いサーブを打つことに終始する。

相手にとってMS消費が必要な技で変化をつけて封じようと工夫することが返って裏目に出たのが上の状況。
相手のスタッツを下げる為には、相手のMSを消費をする他無く、相手が意識をしてくれなければMSは下がることがない。
勿論、短いサーブが来た際に「嫌だな」とその瞬間においてのMS↓には成功したと言えるが、次のレシーブの際には何も考えてくれなければMSはリセット、元通りと言える。

こう見ると中学生最強に思えるが、今回の要点としてはMSを下げてTSを下げることを狙って上手くできなかったということ。
別にこんな回りくどいことをしなくても、TSを下げる、そもそも高スタッツができないような条件を押し付けてあげればいいだけの話である。 
だからこそ短いサーブを出して浮いたボールを自分が頑張って打てばいいという話。
だが、それを実行しようとした際にMS消費が必要だったり、TSが低かったりしたら勝てませんということ。
つまりは、自分の想定が甘かった、練習が不足していた為力負けしたと言っていい。


今回はMSとTSの関係性に関する補足をした。
現状ではほぼ全て網羅できたような印象を受けるが、今後また新たな見解があるだろう。
自分の卓球を振り返る際に、スタッツを意識したらより考察が深まる。自分を客観的に見る事ができない場合は、他者に評価してもらうのも一つの手であろう。
客観的に見る為には他者の試合を客観的に見る事は重要である。
レベルが高くてわかり辛いならば、レベルの低い試合からスタッツ分析する。そうして勝たせたい側のスタッツ、負かしたい側のスタッツを考察し、スタッツに縛りを加えることができる技術(コース、質なども含めて)攻めを完遂させる手順を見つけることができたなら有効なアドバイスを送ることができるだろう。

弱い人の動画を弱いなぁ~ザッコと見てるようでは正直程度が知れる。

練習用動画として以下を上げる

次男&部長
レベルが絶妙。このチャンネルで大学初めへのアドバイスの仕方を学んだ。

祐コーチの試合動画
強い人。祐コーチは全体的に高TSを使うし、そこまでの展開も練られている。
その一方で緩手(低スタッツ)をした際の展開が露骨に悪くなるので、どこをどう意識すればいいかわかりやすい試合が多い。

MS全振りの動画
サーブ力と題しているが、前半でどういうボールを狙われ、どういう条件で強打されているか情報を集めた上で、サーブでスタッツを縛る手順を探索。後半は相手のMSを下げて、自らも高TS展開に持ち込めるようになっている。
やはりペンの選手はバックが振れずTSが低い。そこを知性、MSでカバーしていることが如実に表れた一例。
両方とも全日本レベルの選手であるようだが、流石全日本レベルというだけの内容。TSとMSの熱いぶつかり合いは勉強になる。


前者で考え方を理解したら、後者の動画で練習をしたい。
祐コーチにアドバイスができたらもはや誰にでもアドバイスできると思う。(私はできないが) 
最後の動画も論点は意外とわかりやすいはず。


大会以来卓球をしていない。そろそろ卓球をしたいなぁ。

(おわり)